KAMPAI
news

「角打ち」がストックホルムに行く いまでや×ANAの日本酒プロジェクト

KAMPAI編集部

「角打ち」がストックホルムに行く いまでや×ANAの日本酒プロジェクト

千葉に本店を置くお酒のセレクトショップ「いまでや」が全日本空輸(ANA)と組んで、4月18〜19日にスウェーデン・ストックホルムで日本酒の角打ち体験イベントを開催する。会場はストックホルム郊外の日本式温泉施設「YASURAGI」。スウェーデン未進出の5つの酒蔵が参加し、利き酒や燗酒のセミナー、日本料理とのペアリングも行う。

角打ちは、酒屋の店頭で買ったお酒をその場で飲む日本の立ち飲み文化だ。いまでやは銀座SIXや清澄白河などに店舗を持ち、すでに20カ国以上に日本酒を輸出している。今回のプロジェクトは「売る」ではなく「文化ごと持っていく」という発想で、海外で日本酒が「高級酒」として認識されがちな状況に対し、日常の酒文化を体験してもらうことを狙っている。

なぜ「角打ち」なのか

海外では日本酒は高級レストランで飲むものというイメージが強い。角打ちの「酒屋で気軽に一杯」という感覚は、ほとんど知られていない。

いまでや専務の小倉あづささんは「他国の方々に日本の酒文化の魅力に触れていただき、『日本を訪れたい』と感じていただけるように」とコメントしている。角打ちの気軽さを体験してもらうことで、地酒を入り口にした訪日需要をつくりたいという考えだ。

5つの蔵、すべてスウェーデン未進出

参加する5蔵はいずれもスウェーデンに入っていない銘柄ばかりだ。

  • 惣誉(栃木県市貝町、1872年創業)
  • 阿部勘(宮城県塩竈市、1716年創業)
  • 山城屋(新潟県長岡市、1845年創業)
  • にいだしぜんしゅ(福島県郡山市、1711年創業)
  • 孝の司(愛知県岡崎市、1830年創業)

にいだしぜんしゅ(仁井田本家)は自然米と天然水だけで醸す「自然酒」で知られる。阿部勘は塩竈の魚と合わせることを前提にした食中酒づくりに定評がある。惣誉は全国新酒鑑評会(毎年春に行われる日本酒の全国コンペ)の常連だ。

いずれも日本国内では根強いファンを持つ蔵だが、北欧ではまだ飲める場所がない。ストックホルムで初めて口にする人がどう反応するのか、気になるところだ。

会場は日本式温泉スパ「YASURAGI」

会場のYASURAGIは、ストックホルム郊外にある日本式温泉施設だ。北欧で日本の温泉文化を再現した施設として知られ、World Luxury Spa Awardsの受賞歴もある。角打ちの会場としてはかなり異色だが、「日本文化を体験する場」としてはこれ以上ない環境かもしれない。

現地での運営には、北欧で日本酒の普及活動を行っているAkebono社も協力している。

ANAが「訪日したい」をつくる

ANAがこのプロジェクトに入っている理由は明確だ。日本の食文化に触れた人が「日本に行きたい」と思えば、それは航空需要につながる。ANAは「Inspiration of JAPAN」を掲げており、食文化の発信をインバウンドの導線として位置づけている。

今後は日本国内での酒蔵訪問を中心にした体験型コンテンツの開発も検討しているという。海外で角打ちを体験した人が、次は日本の蔵を訪ねるという流れができれば、地方の酒蔵にとっても新しいチャネルになる。

角打ちという「日常」を海外に持ち出す試み。どんな反応が返ってくるのか、続報を待ちたい。