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「KAORIUM」がコンビニに拡大。AIが酒を勧める場所が増えている

KAMPAI編集部

「KAORIUM」がコンビニに拡大。AIが酒を勧める場所が増えている

風味を言葉に変換するソムリエAI「KAORIUM(カオリウム) for Sake & Wine」が、東京都内および近郊のナチュラルローソン17店舗に拡大導入された。5月11日からの運用開始だ。利用者が画面に答える簡単な質問から、AIがその日の気分や好みに合うワインを薦め、店内のおつまみ・スイーツとの組み合わせを最大21通り提案する。

開発元のSCENTMATIC(セントマティック)株式会社にとって、コンビニという業態への本格展開はこれが拡大フェーズにあたる。同社は2025年11月に都内6店舗で試験導入を始めており、それを今回ほぼ3倍の規模に広げた格好だ。

ナチュラルローソンでの使い方

利用者は店頭に設置されたタッチ端末で、「今日の気分」や好みのテイストに関する質問にいくつか答える。AIはその回答と棚に並ぶワインの風味データを照合し、合いそうな1本を提示する。同時に、店内に置かれているチーズ、ナッツ、生ハム、チョコレートといった商品との組み合わせも提案する仕組みで、ペアリングは全21通り用意されている。

ワインを選ぶ手がかりが「価格」や「ぶどうの品種」だけだったところに、「気分」と「相性のいいおつまみ」という軸が入ってくるイメージだ。

同じシステムは、すでに空港で日本酒を案内している

KAMPAI読者にとって気になるのは、同じ「KAORIUM for Sake & Wine」が中部国際空港セントレアの免税店とロビー店舗で、3月11日から運用されているという点だろう。空港側は商品名どおりワインだけでなく日本酒も対象に入っており、棚に並ぶ銘柄に「sake number」と呼ばれる識別番号を振って、利用者の好みからAIが該当銘柄を案内する。

セントレアでは、日本語・英語・繁体字/簡体字の中国語に加え、2026年5月からは韓国語にも対応した。海外からの旅行者が、日本酒の銘柄名やラベルを読み解けなくても、自分の好みに合う一本にたどり着ける作りになっている。

ナチュラルローソンの展開はワイン中心だが、システム自体は日本酒対応を持ったまま街中に降りてきている、ということだ。

飲食店、酒販店、家飲みにも広がる導入先

KAORIUMの導入先は、空港とコンビニにとどまらない。SCENTMATICの製品ラインを見ると、飲食店向けのメニュー連動ツール、酒販店向けのタッチサイネージ(店頭の大型タッチパネルで案内を出すデジタル端末)、家飲み用の「日本酒飲み比べセット」など、シーンごとの派生製品が並んでいる。山形の隠し蔵オードヴィ庄内のように、酒蔵が自社の銘柄案内に取り入れているケースもある。

「Sake & Wine」と銘打たれているとおり、製品の出発点には日本酒があった。世界初の「日本酒ソムリエAI」を謳ってローンチされた初代「KAORIUM for Sake」が、その後ワインを取り込んで現在の形になっている。

「風味を言葉にする」という入口

KAORIUMの土台にある発想は、香りや味わいといった感覚的なものを、AIが言葉に翻訳するというものだ。日本酒もワインも、説明文や裏ラベルを読んでもピンと来ないことが多い酒類だ。「華やかでフルーティー」「すっきりした辛口」といった抽象的なフレーズが、買い手のイメージとどこまで一致するか、店頭で確かめる手段はあまりない。

そこをAIが言葉と銘柄の対応関係から埋めにいく、というのがこのプロダクトの立ち位置だ。空港・コンビニ・酒販店・酒蔵と、利用シーンが違っても、入口は同じ「気分や好みを言葉で入れる」になっている。

次は、どこで日本酒を勧めるか

ナチュラルローソンでのワイン展開が増えたということは、コンビニ業態という「ソムリエがいない売り場」とKAORIUMの相性が試されているフェーズに入った、と読める。

同じ売り場に日本酒のラインがどう乗ってくるかは、これからの動きとして気になるところだ。半年後、KAORIUMの「Sake」側がどこまで街中に降りているか、追いかけてみたい。