訪日客は本当に「すっきり」が好きなのか。渋谷の店が南会津4蔵で実証
KAMPAI編集部
訪日外国人にどんな日本酒が刺さるのか。渋谷の「未来日本酒店&SAKE BAR」が、南会津町の4酒蔵の銘柄を実際に訪日客に試してもらうテストマーケティングをサーベイリサーチセンターと共同で実施し、結果を公開した。運営は株式会社羅針盤(Frontier&Co運営)だ。
調査の対象になった4銘柄は、国権酒造「山廃純米 國権」、会津酒造「山の井 清か」、開当男山酒造「南山 純米吟醸」、花泉酒造「ロ万 純米吟醸 一回火入れ」。いずれも福島県南会津エリアの酒だ。
見えた3つの傾向
調査からは、訪日客の好みと買い方について3つの傾向が浮かび上がった。
ひとつは、「すっきり系」が選ばれやすいということだ。コクや旨味の濃いタイプより、軽くキレのある酒が好まれる傾向が確認された。日本国内では純米酒のリッチな味わいが評価されることも多いが、初めて飲む層にとっては入りやすさのほうが先に立つようだ。
ふたつめは、ワインと同じ感覚で飲みたい人が多いということだ。料理と合わせるペアリング前提で消費するスタイルが浮かんだ。日本では「日本酒は日本酒として味わう」前提で語られることが多いが、訪日客の感覚はワイン文脈に近い。
みっつめは、日本語のラベルだけでは選べないということだ。原料・味わい・ストーリーが英語で補記されているか、または店員のおすすめが添えられているかが、購入動作に直結していた。
4蔵をいきなり外で試した意味
南会津4蔵をひとまとめにしてテストマーケに出した、というのが今回の特徴だ。1蔵単独でやるより、銘柄ごとの好みのばらつきが見える。「すっきり系」が選ばれやすいという結論は、4本を横並びで比較したからこそ出てきたデータだ。
サーベイリサーチセンターは、「海外向けのプロモーションにおける味の訴求は、実際のユーザーの声を取り入れながら構築することが重要」とコメントしている。蔵側が「うちはこういう酒だ」と発信する前に、現場で訪日客に試して反応を取るプロセスが効くということだ。
ラベルの問題はずっと言われていたが
ラベルの言語問題は、輸出や訪日客向けの話で繰り返し指摘されてきた論点だ。今回の調査でもあらためて、英語補記や店員推奨がないとラベルだけでは内容が伝わらないことが確認された。
裏を返すと、店員のおすすめがある環境では訪日客はちゃんと試して買っていく、ということでもある。バーテンダーやスタッフが英語で説明できる場が、いまの段階では入口としていちばん効いている、という見方もできそうだ。
調査が行われた店
- 店舗名: 未来日本酒店&SAKE BAR
- 住所: 東京都渋谷区宇田川町29-7 Y'MEZビル2階
- 営業時間: 12:00〜22:30(L.O. 22:00)
- アクセス: 渋谷駅から徒歩3分
- 公式サイト: https://sakebar.frontierco.jp/
- 運営: 株式会社羅針盤(Frontier&Co)
「すっきり系が好まれる」「ワイン感覚で飲む」「ラベルが英語じゃないと選ばれない」。どれも現場の人なら肌でわかっていた話だが、こうしてデータで裏が取れたことの意味は大きい。次にどの蔵で試すのか、追いかけてみたい。